ルノルマンカードの特徴
- 36枚の構成: タロット(78枚)より少なく、トランプ(52枚)とも異なる、36枚のカードで構成されるデッキが標準です(「プチ・ルノルマン」と呼ばれます)。
- シンプルなシンボル: 各カードには「騎士」「クローバー」「船」「家」など、一目でわかる具体的な絵柄が一つだけ描かれています。難解な象徴表現ではありません。
- 具体的な回答: 心理的な描写を得意とするタロットに対し、ルノルマンは「何が起こるか」「誰が関わるか」「それはいつか」といった、現実的で具体的な出来事や状況を占うのを得意とします。
- コンビネーション(組み合わせ): これが最大の特徴です。1枚のカードの意味だけでなく、隣り合うカードとまるで文章を作るように組み合わせて意味を読み解きます(例:「指輪(契約)」+「家(不動産)」=「不動産契約」)。
- グラン・タブロー: 36枚すべてのカードを並べて、相談者の人生の全体像(過去・現在・未来、恋愛、仕事、健康など)を一度に俯瞰する、壮大で詳細な展開法(スプレッド)が有名です。
ルノルマンカードの歴史
起源:ドイツのボードゲーム
「希望のゲーム」(18世紀末)
驚くべきことに、ルノルマンカードの直接の祖先は、占いの道具ではなく子供向けのボードゲームでした。1799年頃、ドイツのニュルンベルクでヨハン・カスパー・ヘヒテルが出版した「希望のゲーム(Das Spiel der Hoffnung)」がそれです。このゲームは36枚のカードを並べ、サイコロを使ってコマを進めるものでした。
カードには現在のルノルマンと同じシンボル(騎士、船、キツネなど)が描かれており、説明書には「簡単な占いにも使える」と記されていました。これがすべての始まりです。
カードには現在のルノルマンと同じシンボル(騎士、船、キツネなど)が描かれており、説明書には「簡単な占いにも使える」と記されていました。これがすべての始まりです。

名前の由来:ナポレオンの予言者
マドモアゼル・ルノルマン(19世紀初頭)
デッキの名前となっているマリー・アン・ルノルマン(Marie Anne Lenormand)は、フランス革命期からナポレオン時代にかけて実在した、歴史上最も有名な占い師の一人です。彼女はナポレオンの妻ジョセフィーヌをはじめ、多くの権力者を顧客に持ちました。
しかし、重要な点として、彼女自身は現在私たちが知る「ルノルマンカード」を使っていたわけではありません。 彼女はトランプ占いや手相など、様々な手法を用いていました。
しかし、重要な点として、彼女自身は現在私たちが知る「ルノルマンカード」を使っていたわけではありません。 彼女はトランプ占いや手相など、様々な手法を用いていました。

誕生:「プチ・ルノルマン」の確立
(19世紀中頃)
マドモアゼル・ルノルマンの死後(1843年)、彼女の名声にあやかろうとした出版社たちが、前述のドイツの「希望のゲーム」のシステムをベースにした占いカードを、「ルノルマン」の名を冠して売り出しました。
これが現在標準となっている36枚の「プチ・ルノルマン(Petit Lenormand)」デッキの誕生です。このデッキは、具体的な未来予知を求める人々の間で急速に広まりました。
これが現在標準となっている36枚の「プチ・ルノルマン(Petit Lenormand)」デッキの誕生です。このデッキは、具体的な未来予知を求める人々の間で急速に広まりました。

発展と現代の復興
(20世紀~現在)
その後、ルノルマン占いはヨーロッパ各地(特にドイツ、フランス、オランダ、ロシアなど)で独自の発展を遂げ、いくつかの流派が生まれました。20世紀後半になると、インターネットの普及により、忘れかけられていたこの古典的な占術に再び光が当たりました。
世界中の愛好家が情報を交換し、現代的なアートワークのデッキが次々と出版され、今ではタロットと並ぶ確固たる地位を築いています。
世界中の愛好家が情報を交換し、現代的なアートワークのデッキが次々と出版され、今ではタロットと並ぶ確固たる地位を築いています。

現実を直視するための、36枚の予言書。
運命の全体像を俯瞰する、人生の確かな羅針盤。
直感で読めるシンプルな絵柄が、日常の迷いをクリアにする。
ルノルマンカードの使者
