7月も終りに近い中、
すでに気温は真夏✕2以上に振り切ってます。
夜は夜で連日の熱帯夜を更新中🥵🔥
冷房なしではそのまま昇天しまいそうな今日此の頃😇
そんな暑い最中に
少しでも気分的に涼んで欲しいと思い、
夏恒例の怪談話を千夜物語でもやってみることにいたしました。
何回までつづくかはネタ次第ですが、
「千夜物語で百物語」と題しまして、
これから一話ずつ怪談話を披露したいと思います。
今回は第1回目ということで
河本 享先生に話を綴っていただきました。
寝苦しい夜に読んで、
涼しさを感じていただけたらと思います・・・
それでは、どうぞ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『パチンパチン』
伯父の隣家には高齢の女性がひとりで住んでいた。
隣家の女性は常日頃から伯父の敷地に伸びてしまう生垣の枝を
「ごめんねぇわるいわねぇ」と剪定していた。
草花一本伯父の敷地にはみ出させることなく、
いつも整然と整えられていたのを見た記憶がある。
それから数年後、
隣家の高齢の女性は病いに臥し他界。
主人を失った屋敷は、
時々様子を見に来る親戚筋の方が
手を入れるが庭が荒れるのには時間が掛からなかった。
伯父宅に立ち寄った際、
駐車場から何気なく覗いた隣家の庭先には
膝丈まで伸びた夏草が生い茂り
庭木も好き勝手に枝を張っているようだった。
「時々手入れに来てくれる人がいるんだけどねぇ、まあすぐに伸び放題になっちゃうのよ」
伯母は母屋へと招いてくれながらふと立ち止まって
隣家との境を眺めながらこっそり
「お父さんがね夜中に剪定鋏で枝を切るパチンパチンって音が聞こえるっていうのよ。嫌よねぇ。」
伯母の目線の先にあったのは隣家との境界線。
生垣の枝も葉もこちらに伸びていない。
きれいな一平面に整った生垣が夏の日差しを受け止めていた。
文章:河本 享
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
👻