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千夜物語で百物語 第八夜「ご近所さん」 河本 享

百物語 「ご近所さん」

 

 

『千夜物語以外では鑑定してません』

と言ってはいるもののたまたまちょっとした話の流れから
実は商売で占いをしているという事を伝えてしまった方たちには依頼があれば対応する。

雑談の延長線上くらいの感覚でこちらも気楽に占い、
お礼としてお野菜を頂いたりしている。

ある日ご近所さんから家のカギが無くなったと電話があった。
今すぐ出掛けなきゃならないのにと慌てた様子だったが
ちょっと待ってと電話を切り早速カードを並べた。

どんなカードが出たかは忘れてしまったが

『まさかこんなものの下に?という所にあり、すぐに見つかる。キッチン周辺』

と伝えた数分後、

調理中に鍋から外した蓋の下にあったと連絡があった。

それ以来私の占いに全幅の信頼を寄せてくださっている。

 

そんなご近所さんが大きく悩むような事柄に直面し

時間があれば占いをと連絡してくるようになってしまった。

 

不安になったらこちらの生活時間を考慮することも難しい様子。

仕事中や帰宅直後も関係ない。

できる限りの対応はするができない時もある。

そんな時、私は予定外の休暇を取得した。

ご近所さんは朝から出掛けているようでクルマがない。

という事は急な訪問もないだろうと久しぶりに自宅で休みを満喫していた。

しかし何か落ち着かない。

窓に差し込む緩い日差しの向こうからの視線を感じる。

なんの気なしにその方向を眺める。

 

道路沿いのフェンス前に立ちすくむご近所さんの姿。

心なしか存在感が薄い。窓際に一歩踏み出したらフッとその姿が消えた。

 

ちょ、待てよ!

とご近所さんの在宅を確認したが勿論クルマはない。

 

数時間後、ご近所さんが来訪。

「午前中にどうしても気になる事があって占って欲しかったんだけど出先だったから来られなくって。ずっと河本さーんちょっと来てーって思ってたんだよねぇ」

いや、訪ねてきたのはそちらの方では・・・

 

 

 

文章:河本 享

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