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活断(かつだん)とは?

 

占いは机上の空論?では意味がありません。

お客様の現実の問題に即して、
如何に実際に役に立つアドバイスができるか!?が本当の課題です。
そうした生きた占断をすることを易では「活断」といいます。

 

その一例をお話したいと思います。

 

20年ほど前の話ですが、
40代ぐらいのあるご婦人が来店なさいました。

私がいつものように、
「何を占いますか?何が知りたいですか?」と尋ねますと、
最初はこれからの運勢!?というようなことを言われました。

 

でも、文字通りこれからの運勢を!という人もいますが、
実はこの言葉の裏に秘めたる思いを
持っている方も実際には多くいらっしゃいます。

ですから、
私は、いつもお客様の「実は・・・」という言葉を聴くと、
ああこれからが本番だな!と感じます。
そして、この方はかなり疲れた様子でした。

 

それで、私がよくよく話を聞きますと、
実は消費者金融に、いわゆる当時のサラ金に借金が
200万円ほどあって途方にくれているとの事でした。

 

でも、その借金はギャンブルとかではなく、
生活費が足らなくて、少しずつ借りたものが段々と膨らんで
200万円にもなってしまったそうです。

本人もパートで働いて
必死に返そうと努力はしていましたが、
焼け石に水の状態でした。

 

当時は過払い金請求などという制度も無く、
高利で利子が利子を生むように、
とんどんと借金が膨れ上がってしまう人が多く、
社会問題にもなっていました。

 

こういう場合、
普通は親兄弟等の身内に頭を下げてお金を借りて、
一旦借金を全額返済しなさい!と。
その後、その人たちにはゆっくりと元金を返すようにアドバイスします。

 

そうすれば、利子が利子を生むような、借金が増え続けることは避けられます。

でも、その親兄弟にお金が無い場合はお手上げです。

そして、そういう人が現実には多いのですが。

 

それから、私は改めて、
その人の今後の運勢、
借金を返すことができるか?を含めて占いました。

 

そして得た卦は、山雷頤(さんらいい)の四爻でした。

私はそれを見て、
あぁこの人は大丈夫!借金を返すことができる!と確信しました。

 

なぜなら、
山雷頤は「養う」の意で、
初爻から三爻までは、
自分を養うだけで精一杯で、
他を養う力はありませんが、
四爻から上は他を養う力があるとみます。

三爻まででしたら、
到底借金を返すことができません、
それどころか更に増やし続ける可能性が高いのですが、
この人は、かろうじて四爻です。

でも、それをどうやって返すか?が問題です。
普通に生活をしながらパートで働いてでは、今までと同じで絶対に無理です。

 

そこで、私はある方法を思いつきました。

実は、私は学生の頃、
白樺湖や蓼科のリゾートホテルや、
志賀高原のスキー場のホテルでバイトした経験があります。

そういう所では、
従業員用の寮があり、
まかないの食事も大抵は付いています。

それがたとえ有料でも、
1食200円から300円ぐらいです。

私たちは学生のバイトですから短期でしたが、
そこで3年もバイトしているという人も何人か居ました。

今で言うフリーターのような人たちです。

その人たちは、
地方から東京へ出て働いていたが、
仕事を辞め、アパートも引き払って、
でも、故郷には帰らずに、身一つで働けるそこへ来て、
ついつい居ついてしまっているのでした。

要するに、
三食付で住む所も確保されているため、
ほとんどお金を使わずに生活できるので、
その気になれば働いたお金の大半を貯金や借金返済に回すことができるのです。

 

得卦、山雷頤の頤(おとがい)は、
内卦の下顎と外卦の上顎とで、全体で口を表しています。

口は食べることに繋がり、
それが我が身を養い、
他をも養うということになります。

ですから、
口の意からも、食事をする、
それから食事を提供する、
ホテルの仲居さんの仕事を思いつきました。

 

それで、
こういう方法だと働きながら借金が返せるから、
やってみませんか?と私は提案しました。

すると、
そんな方法があったのか!?といった感じで、
お客様は「私、やってみます!」と言われました

 

でも、それは家を出て、
家族から離れて暮らすことになります。

家族は、
中学3年生の娘さんと高校生の息子さんとご主人の4人家族です。
ただ、ご主人とは元々うまくいっていないとのことでした。

 

それで、子供たちから余り離れたくないとのことで、
その時の吉方である西浦温泉辺りはどうか?ということになりました。

これが、五爻や上爻でしたら、
「大川を渡るに良ろし」で、
もっと遠くを勧めましたが、
四爻でしたので近場にしました。

また、
山雷頤の卦も見ようによっては、
高層ビルのホテルの形に見えます。

 

そして、
話がまとまって一段落すると、
その人はフッ~!と大きなため息をついて、
「ああ、来て良かった!私、死のうと思っていました!」と言われました。

私は、多分そうだろう?と感じていましたので、
敢えて「200万円で人生を捨てることはありませんよ!0がいくつか足りませんよ!」と励ましました。

 

死ぬ!?とは、オーバーだな?と思われるかもしれませんが、
ただただ絶望感だけで、
希望が全く見えないときは、人は死にたくなるものです。

その痛みを感じ取って、
如何に有益な解決策を提示してあげることができるか?が私たち占者の課題です。

 

それから、
しばらく経って、再び来店されました。

その方のお話によると、
言ったとおりに西浦温泉に行き、
職安であるホテルを紹介してもらい面接に行ったそうです。

すると、
家族に内緒で家を出たため、
保証人も居ないということで、
不採用になったそうです。

それでもめげずに、次のホテルの面接に行きましたら、
「こういう所は皆訳有りだから、とにかく一度働いてみなさい!」
と言って下さったそうで、そのホテルで今仲居として働いています!とのことでした。

 

正に、世の中捨てる神ありゃ拾う神有りです!!!

そして、
最初に来られた時、
生活に疲れた姿だった時よりも、
生き生きとして綺麗になっていました。

それからも、
家出同然に置いてきた子供達と連絡を取りたいが、いつが良いか?、
子供達は果たして自分を許してくれるだろうか?などと、折に触れて相談にみえました。

 

そして、問題の借金は、
返し終えるのに二年半以上かかりましたが、その人は完済しました。
子供達も許してくれて、
中三だった娘さんも無事高校生になっており、家事はその子がやっているそうで、
自分が居なくなっても、それぞれが頑張って生きていることに、
本当に生きていて良かった!と、感じているようでした。

その後、ご主人とは離婚しました。

そもそも、なぜ借金することになったのか?は、ご主人の稼ぎが少なかったからです。

そして、子供達とは頃合をみて、
引き取って一緒に暮らしたいと言っていました。

でも、「私は、一度は子供を捨てた母親です!それを一生かけて償っていくつもりです!」とも言っておられました。

 

とにかく、来店される度に、綺麗になられていて、
その姿を見る度に、自信と自分の居場所を
見つけられたのだな!?と改めて感じました。

その後、
そんな健気に働く彼女の姿を見て、
年下の板前の男性が恋心を抱いたようで、
その方との恋愛相談にまで発展しました。

これも山雷頤の象意、
口や食べることに繋がる板前さんかぁ!?なるほど・・・!と感じました。

 

このように、
このお客さまの人生と深く関わりあって、
お役に立てたことに私自身もうれしく思っています。

そして、私の方も、
この方から世の中の多くの事を学ばせていただきました。
私は、これも易神が結びつけた「ご縁」だと思っています。

 

でも、私が、
この人の人生を変えてあげたのではありません、
それは本人自身が自分で変えたのです。

なぜなら一軒目のホテルに断られたとき、
もしそこで諦めていたら、その後の人生はありません。

また、慣れない仲居さんのお仕事も決して楽ではなかったと思います。

 

皆さん、占いは、魔法ではありません
実行するのはあくまでもあなた自身なのです。

私たちは、
その背中を少しだけ押してあげるだけです、
それが占いであり、私たち占者の役目なのです。

 

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