前回に続いて、占いは決して多数決ではない例をお話したいと思います。

今回は、お店のお客さまではなく、私の個人的な友達のケースです。
20数年前に、私の親しい友達の一人から、彼女の友達の相談に
乗ってあげてほしいと頼まれました。

当時、私はその人とはそんなに親しくはなかったので、
共通の友達の紹介となりました。

相談とは、ズバリ、離婚問題でした。
そして、原因はご主人の浮気でした。
彼女は名古屋市内に住んでいるご主人とはすでに別居していまして、
地元の実家に子供を連れて、もう帰って来ていました。

当日は、その6歳の可愛らしい女の子だけでなく、実母の3人で相談に来ました。
その彼女は、学生時代は成績優秀で大変活発な人でした。
でも、目の前の彼女はその面影が霞んでしまったかのように、
一回りも小さくなってしまったように感じました。

そして、彼女のご主人は、ある自営業を営んでおり、
そこの従業員に手を出したというお話でした。

彼女達夫婦は、結婚が早く、しかも親に反対された結婚でした。
それで、一緒に来たお母様は、それみなさい！だから反対したのよ！
といった調子で、もう離婚しなさい！という意思がありありと見えました。

でも、当の彼女は、子供のことがあるから当然ですが、
迷い？や未練？があるようで、だから相談に来たのでした。
また、原因を作ったご主人は、離婚をする気は全くなく、
もう一度やり直しをしたいという希望でした。

とにかく、話だけ聞けば、確かに、誰でもが離婚したら？という内容でした。

でも、まずは、この夫婦は果たして離婚することになるのか？それともヨリが戻るのか？
を含めて、この夫婦はこの先どうなるか？と占いました。

すると、なんと風雷益（ふうらいえき）の初爻が出ました。
風雷益では、絶対に離婚は無いな！？と私は確信しました。
この卦では、内卦の震と外卦の巽で、互いに向き合っており、惹き合っています。

三陰三陽の卦は、必ず地天泰か天地否のどちらかから来ています。
そして、風雷益は天地否から来ており、天地否の状態が今の別居状態を表しており、
その外卦の乾の一爻が内卦に降りて来て、坤が震に変ったと考えられます。

また、益は利益の益でもありますので、金銭面を尋ねますと、
別居しているにも関わらず生活費はちゃんと振り込まれているそうでした。

それで、私は、あなたたちご夫婦は離婚はせずに、ヨリが戻る！と出ています。
だから、戻った後のことも考えて、あまり酷いことは言わないようにしてくださいね！
と彼女に言いました。

すると、彼女は、安堵したような、困惑したような表情をしておりました。
ところが、お母様は、離婚を希望していたので、私の答えに不満だったらしく、
私のことを睨み付けるような様子でした。

それから、間に入った友達を通して、その後の彼女たちの状況が時々報告されました。
それはそれは酷いもので、なんと、あのとき問題になった浮気だけでなく、
別の複数の女性との浮気も発覚？して、その内の一人からは直接彼女に
電話があったりして、もう滅茶苦茶な状況になっていたそうです。

それでも、そんな状況だったにも関わらず、彼女は、約一年後、ご主人の下に戻りました。
これは、風雷益の爻が初爻だったことを考えると、1年後はなるほど！？ピッタリだと思いました。

彼女はおそらく、親の反対を振り切って、退路を絶っての決断だったと思います。
それから、数年後にはもう一人の女の子も授かり四人家族になりました。

そして、その後も色々とありましたが、女性問題だけでなくに本当に色々とありましたが、
現在に至るまで離婚にはなっておりません。
彼女は、今は長年の情で夫を見捨てることは、今更できないわ！と言っていました。

ところで、その間に入った友達から、ある時、意外なことを言われました。
それは、「あなただけだよ彼女に離婚しない方が良い！と言ったのは・・・。」
と言われました。

えっ、どういうこと？と私が聞きますと、「実はあのお母さんは、
私の言ったことが気に入らなくて、あれから彼女たちは
十軒以上も占いをハシゴしたんだよ！」
と言われて、私はハァ～ア？と、びっくりしました。

そして、「あなた以外は全員、離婚した方が良い！と言ったのよ」、とも言いました。

それで、私は、ちょっと待って離婚しない方が良い！なんて言ってないよ！
そうではなくて、離婚しない！離婚することにはならない！と言っただけよ！
と念を押しました。

皆さん、この違いが、分かりますか？

私は相性が良いとか悪いとかで、離婚した方が良いとか、しない方が良いと
言っているのでは決してありません。

良いか悪いかではなく、現実問題として離婚することになるか？
離婚することにならないか？を言っているのです。
もっと違う言い方をすれば、運命的にはどうなるか？を言っているのです。

確かに、人には合う合わないという相性があります。
でも、相性が良いから上手くいくといった単純なものではありません。

たとえば、相性が良いから上手く行くとします。それで結婚もできたとします。
それなら、何故多くのカップルが離婚するのですか？ということになります。

世の中には、こんなに相性が悪い？夫婦でも、長年ケンカしながらでも
結構仲良く暮らしている人たちも沢山いますし、反対に、こんな良い相性なのに、
どうして？と思うご夫婦も多く、離婚にまで至るケースも少なくありません。

要するに、相性とどうなるか？は別問題で、次元が違うものなのです。

占いに興味を持っている人でも、また、占い師の多くが、この違いに気付いていません。
良くも悪くも相性は万能ではなく、絶対でもない！ということを、
ぜひ知っておいて下さい。

一般的に相性は、占いの中でも命（めい）の生年月日から算出します。
ところが、占いの種類だけ相性が出て来てしまいます。
また、それらが全部バラバラの結果になります。

つまり、この占いだと良くて、この占いだと悪い？などとなり・・・果たして？？？です。
更に、卜（ぼく）のタロットや易でも相性を出すことは可能です。

多くの人は、その人と上手くいっている時は、相性が良いと感じ、
上手くいかなくなった時に、相性が悪いのかな？と感じるのではないのでしょうか？
つまり、同じ人でもその時の状況によって感じ方も違ってくると思うのですが、
いかがでしょうか？

そもそも人には「ご縁」というものがあって、そのご縁で夫婦になると私は思っています。
その反対に離婚も、縁が切れることで、それも縁の問題だと思っています。

このご縁とお互いの努力と忍耐が、相性をも超えるものではないでしょうか？

私たちは、自分の意思で相手を選び、結婚したり離婚したりすると思っています。
でも、本当にそれだけでしょうか？
そこに、ご縁という運命は介在しないのでしょうか？

私は、ご縁や運命があると思っているからこそ占いをしているのです。
また、何でも自分が決めることが出来、また何でも出来るんだ、しても良いんだ
と考えることは、人間の傲慢さ？でもあると思っています。

ご縁があって、夫婦になり、親子にもなり、また、友達にもなると思っています。
お客さまともご縁があるからこそ、お会いすることになると思っています。
これからも、私はそのご縁を大切にしたいと心から思っています。